目次
免責事項
Dirac Research AB は、Dirac Live® ソフトウェア設定の不適切な使用、またはそれにより発生する可能性のある損害について、一切の責任を負わないものとします。本マニュアルは本ソフトウェアを正しくお使いいただくための手引きとなるものですが、使い方は多岐にわたるため、あらゆる状況を想定しているわけではありません。本マニュアルに含まれている資料を読んで理解していただくことに加えて、特に出力ゲインやブーストの設定を誤ると、オーディオシステムや聴覚に損傷を与える信号が発生する可能性があります。Dirac Live® ソフトウェアを使用する際には十分に注意してください。
本マニュアルの使い方
本マニュアルでは、Dirac Live® デスクトップソフトウェアの設定と使用方法について説明します。本ソフトウェアには室内音響最適化機能、アドオン可能なBass Control 機能、Dirac Processor Plugin パッケージ、および Dirac Processor スタンドアローンデスクトップソフトウェアが含まれています。Dirac Live®室内音響最適化と Bass Control は、対応する家庭用 AVR と HiFi レシーバーに適用できます。VST、AAX、AU フォーマットの Dirac Processor プラグインは、現在 Dirac Live® 室内音響最適化をサポートしており、PC 上のプラグインホストやプロフェッショナル DAW で使用するために設計されています。Dirac Processor スタンドアローンソフトウェアは、PC用にシステム全体の室内音響最適化を提供します。その他のガイダンスやウォークスルーについては、Dirac ナレッジベース を参照してください。
Dirac Live® 製品
Dirac Live® は、ユーザーの好みに合わせてサウンドシステムを測定・最適化し、部屋からもたらされるサウンドへの影響を低減することができる室内音響最適化ソリューションです。Dirac Live® にはすべてのソフトウェアパッケージに含まれている室内音響最適化と、別売のアドオン機能である Bass Control の 2 つの機能があります。
なぜ室内音響最適化なのか?
リスニング空間はサウンドに影響を与えます。壁、床、窓、家具などは、音の伝わり方に影響を及ぼし、特定の周波数を強調したり、他の周波数を弱めたりします。さらにスピーカーが最適に配置されていない場合もあります。例えば、スピーカーが左右対称に配置されていない場合、左右のチャンネルからの音が異なるタイミングでリスナーに届くことになります。これはステレオイメージの歪みにつながります。また、スピーカー同士が干渉し合い、特定の周波数で音が相殺されてしまうこともあります。
このような音響に起因する課題を解決しない限り、どんなに費用を投じても家庭のオーディオシステムのサウンドは意図したレベルよりも低くなります。濁った音、ひずんだサウンドステージ、低音のもたつきは、どんなに高価なセットアップでも極めて一般的な音質の問題です。こちら をクリックすると、優れたデジタル室内音響最適化システムが対処すべき 4 種類の歪みについての説明があります。
Dirac Live® 室内音響最適化ソリューション
Dirac Live® は、特許取得済みの混合位相テクノロジーと時間領域の最適化により、他のソリューションにはない世界最高レベルの室内音響最適化を提供します。Dirac Live® は、部屋がサウンドに与える影響を最小限に抑え、優れた室内音響最適化性能を発揮することが証明されています。洗練されたアルゴリズムを搭載した Dirac Live® は、使いやすさを兼ね備え、直感的なユーザーインターフェースとステップ・バイ・ステップのガイダンスにより、簡単にセットアップができ、目的とするサウンドカーブを正確にパーソナライズすることができます。
エンドユーザーのメリット
- より透明感のあるサウンド:現在お使いのサウンドシステムでは味わえなかった透明感のあるすっきりとしたサウンドを楽しむことができます。
- より正確なイメージングとステージング:ボーカルやいろいろな楽器のサウンドがより広い空間に満ちて、まるでライブ演奏を体験しているかのように聴くことができます。
- より広いスイートスポット:リスニングエリア全体で共振のない、広い空間での総合的なサウンド体験が向上します。
- より深みのあるタイトなベース音:各音符の立ち上がりと立ち下がりが意図されたとおりになるため、より正確なビートを聴くことができます。
- より豊かなディテール:今まで聴いたことがなかった、より細かいディテールが表現されます。お気に入りの曲を新鮮な気持ちでお聴きいただけます。
Dirac Live® の特徴
- 業界をリードするソリューション:Dirac Live® は、最先端のパフォーマンスと使いやすいインターフェースの完璧な組み合わせを提供します。使いやすさを維持しながら同じパフォーマンスを実現できるソリューションは他にありません。
- 他のソリューションでは対応できない問題を解決:Dirac Live® の室内音響最適化機能は、他のソリューションでは対応できない重要な室内音響の問題を解決します。Dirac Live® だけが位相アラインメント、スピーカーユニット間アラインメント、室内共振の低減、初期反射の低減を実現します。すべて込みです。詳しくは こちら をクリックしてください。
- 定評のあるブランド:Dirac Live® は、20 社以上の HiFi およびホームシアター のOEM にライセンスされています。当社のソリューションは、全世界で 20 万人以上のお客様から高い評価を受けています。プロのミキシングスタジオ、コントロールルーム、商業映画館で使用されている Dirac Live® は、Axwell や Rami Yacoub といった世界的に有名なミュージシャンから支持されています。
- 特許取得済みのインパルス応答最適化技術:Dirac Live® の室内音響最適化機能の主要技術は、2006 年以降、世界で最も厳しい音響環境とされている自動車用のオーディオで幅広く採用されています。現在ではこの技術によってBentley、BMW、Rolls Royce、Volvoなどの高級自動車ブランドのサウンドシステムを次のレベルへと引き上げるのに役立っています。
Bass Control が選ばれる理由
リスニング空間は音に干渉し、スピーカーの音は互いに干渉します。具体的には、壁、家具、床が音を反射し、そのタイミングや周波数が変化します。これにより定在波が発生し、低音が安定しないことがあります。また、同じ音を異なるタイミングで複数のスピーカーが再生すると干渉が生じます。従来のベースマネージメントの設定では、低音管理されたスピーカーとサブウーファーが互いに無秩序に干渉し合っていました。これらの影響の度合いは、場所やスピーカーの配置によって軽度から重度までさまざまです。
こうしたことは、リスニング体験にどのような意味をもたらしているでしょうか?リスニング空間全体で低音は空間的に一貫性を失います。ある場所では低音がほとんど聞こえず,別の場所では低音が突出してしまう場合があります。また、サウンドシステムに複数のサブウーファーを追加した場合、それらを適切に活用して安定した低音空間を作り出すことは非常に困難な課題となります。Bass Control がなければこのような問題に対処するには多くの経験や時間、そしてコストがかかります。専門のキャリブレーターを雇えば、機器の変更や移動を行うたびに依頼しなければなりません。
Bass Control とベースマネージメントとの違い
Bass Control は、従来のベースマネージメントソリューションとは根本的に異なります。いわゆるベースマネージメントとは、入力信号から低音成分を抽出し、接続されたサブウーファーにルーティングする AVR の一般的な機能です。Bass Control はベースマネージメント機能を備えていますが、Bass Control の核となる価値は、低音の精度を高めるためにスピーカーをまとめて最適化し、単一または複数のサブウーファーのセットアップからリスニングエリア全体に一貫した低音性能を確保することです。つまり、各サブウーファーはリスニング空間における完全なユニットの一部としてチューニングされているため、どのような配置でも一貫性のあるリアルなレスポンスを実現します。
初期設定
システム要件
Dirac Live® は、以下の最低スペックを備えた Windows または macOS の PC が必要です。
Windows
- Microsoft Windows 10 以降
- Intel i3 相当
- 2GB RAM
Mac
- macOS 10.14 Mojave、15 Catalina、またはそれ以降のバージョン
- Intel i3 相当
- 2GB RAM
Dirac Processor Plugin の互換性
Dirac Processor Plugin を使用しない場合は、このセクションをスキップしてください。
Dirac Processor Plugin パッケージは、VST2、VST3、AAX、AU プラグインに対応したプラグインホストが必要です。互換性のあるホストには以下が含まれます。
- Logic Pro X
- Cubase 10
- Studio One 4
- Reaper
- JRiver Media Center
- Ableton Live 10
- Pro Tools 11 以降
- Audirvana
- Amarra
ネットワーク設定
Dirac Live® デスクトップ アプリケーションと Dirac Live® に対応したハードウェアは、通信を円滑に行うために同じネットワークに接続する必要があります。また、Dirac Live® デスクトップ アプリケーションは、インターネットにアクセスする必要があります。これには次の 2 つの理由があります。ひとつはライセンスサーバーにアクセスするためと、もうひとつはフィルター設計の一部をクラウドサーバーで計算するためです。そのためアプリケーションからの接続がファイアウォールで遮断されないようにすることが大切です。
ファイアウォール
Dirac Live® からの接続を許可するようにファイアウォールを設定します。
- macOS:[システム環境設定] → [セキュリティとプライバシー] で、Dirac Live® に [着信接続を許可する] が設定されていることを確認します。
- Windows 10:[Windows Defender ファイアウォール] → [許可されたアプリ] で、現在のネットワークの種類 (プライベートまたはパブリック) でexe のアクセスを有効にします。
カスペルスキーをお使いの方は、以下の案内をご覧ください。https://confluence.dirac.services/x/JbGDC (英文)
マイクの設定
Dirac Live® には、関連するキャリブレーションファイルのある無指向性キャリブレーションマイクロホンが必要です。使いやすさとユニバーサルドライバーを備えた miniDSP UMIK-1マイクロホン をお勧めします。【注意】測定用マイクロホンは Dirac Live® ソフトウェア購入時には付属していません。
無指向性マイクとは?
無指向性マイクロホンは、あらゆる角度からの音に対して等しい感度を持ちます。無指向性マイクロホンの極性パターンは円形のため、音がマイクロホンに対してどのような傾斜角度でもゲインが等しいことを示しています。無指向性マイクロホンとは対照的に、双極性性マイクロホンは音圧に対して片側だけが開いています。
単一指向性マイクや双指向性マイクが使えない理由
Dirac Live® では、部屋の反射音とスピーカーからの直接音の音圧を同じゲインで測定する必要があります。単一指向性マイクや双指向性マイクは、マイクに対する音波の傾きによって、異なるゲインで音を測定します。フロントスピーカーに単一指向性マイクを向けてサラウンドシステムを測定すると、マイクの後ろにあるスピーカーのゲインが低く測定されるため、システムのキャリブレーションがしっかりできなくなります。
マイクの接続先
Dirac Live® 対応機器にキャリブレーション用マイクが付属している場合、Dirac Live® が機器からキャリブレーションファイルを自動的に取得するため、付属のキャリブレーション用マイクを PC ではなく、機器に接続することをお勧めします。【注意】ARCAM ユーザーはマイクを PC に接続してください。
サードパーティ製の無指向性マイクを使用する場合、または HiFi 機器がリスニングエリアから遠くに設置されている場合はマイクを PC に接続して、§4.3.4 の説明に従いアクセスが可能であることを確認してください。マイクメーカーが提供している関連キャリブレーションファイルをダウンロードし、§5.6 の説明に従って Dirac Live® にロードしてください。信頼性の高い測定を行うには、マイクに適切なキャリブレーションを適用することが非常に重要です。
マイクへのアクセス
キャリブレーション用マイクが PC に接続されている場合、Dirac Live® (および Dirac Processor Plugin を使用している場合はプラグインホストアプリケーション) は、測定を完了するためにマイクにアクセスする必要があります。
Windows
- [サウンド設定] に移動します。
- [関連設定] で、[サウンドコントロールパネル] を選択します。
- キャリブレーションに使用するマイクを選択します。
- [プロパティ] をクリックし、[詳細] タブを選択します。
- [排他モード] の下のチェックボックスが両方とも選択されていることを確認します。
- 表示されている場合は、[オーディオ機能拡張を有効にする] のチェックをオフにしてください。
「オーディオ機能拡張を有効にする」のチェックボックスがオフになっていることを確認します。
Mac
- [システム環境設定] → [セキュリティとプライバシー] に移動します。
[プライバシー] タブで [マイク] を選択し、Dirac Live® の横にあるチェックボックスをオンにします。
マイクとスピーカーの配置
Dirac Live® は、リスニングルームで測定した結果をもとに、すべてのスピーカーとサブウーファーの最適化フィルターを計算します。Dirac Live® アプリのガイドに従って、リスニングルームのさまざまな場所で測定を行い、最適化フィルターを作成する手順で、測定とフィルター設計を行います。
スピーカーの配置
システムのキャリブレーションを開始する前に、スピーカー自体が適切な配置と位置にあることを確認することが重要です。以下は、セットアップの物理的な配置を決定する際に従うべきいくつかのガイドラインです。スピーカーのセットアップについては、メーカーによる推奨事項を確認して、まずはそれに従ってください。以下のガイダンスと矛盾する手順が提案されている場合がありますが、メーカーの指示に従うことを第一としてください。
- 可能な範囲でスピーカーと壁との距離を最大にします。これにより、より低音域に影響を与えることの多い、壁からの高エネルギーの反射音による干渉を低減できます。Dirac Live® は多くの場合、この歪みを最適化することができますが、あまりにも多くのエネルギーが失われる場合があるため、スピーカーを壁から遠くに移動させる必要があります。
- スピーカーの前にはモノを置かないでください。
- 可能であれば、通常のリスニングスポットを部屋の中央にしてください。
- スピーカーは耳と同じ高さに設置してください。
Bass Control サブウーファーの設定
- Bass Control システムには、少なくとも 1 台のサブウーファーと、1 台の大/小のスピーカーが必要です。システム内のスピーカー数には上限がありません。
- サブウーファーは部屋のどこに置くべきかについて実際の要件はありません。Bass Control の主な目的の 1 つは、ユーザーがサブウーファーを部屋のどこに置いても良い結果を得られるようにすることです。
- 各サブウーファーには独自の論理チャンネルが必要です。サブウーファー 2 台を Y スプリットで接続することは推奨しません。
- サブウーファーに調整可能なクロスオーバーフィルターやローパスフィルターがある場合は、最大の周波数に設定してください。
- Bass Control のキャリブレーション後は、結果に影響を与えるため、ボリュームやフェーズコントロールには触れないようにしてください。キャリブレーション後の調整は Dirac Live® で行う必要があります。
- オーディオ信号経路に外部のアップミックスがないようにします。ユーザーが付加的なフィルターやエフェクトを追加する場合は、対象となるBass Control デバイスの入力に適用する必要があります。
マイクの配置
マイクの配置の基本原則は、測定ポイントが増えると最適化が向上することです。測定ポイントが多い = フィルターの精度が高いことを意味します。ただし、室内の音響特性や機器によっては、測定回数を増やすことで得られるメリットが早く減少する場合があります。選択したアレンジメントのすべての測定ポイントを完了させることをお勧めします。
- 測定ポイントの互いの間隔は、少なくとも 30 cm 以上にしてください。
- 狭すぎる場所での測定は避けてください。「タイトフォーカス」のリスニング環境でも、マイクの位置を直径 1 m 以上の球状に広げることが重要です。スペースが小さすぎると過剰補正になり、非常に乾いた鈍いサウンドになります。
- リスニングエリアの外側にあるいくつかのポイントを測定します。例えば、ソファーの場合、どの方向にも 20 ~ 30 cm ほど外側の場所を測定するようお勧めします。
- 2 次元の平面ではなく、3 次元の立体範囲で測定していることを忘れずに、1 本の水平線ではなく、さまざまな垂直位置で測定するようにします。奥行も測定に含めるようにしてください。
- 壁からの反射音とスピーカーからの直接音の両方でマイクのカラーレーション(色調)が同じになるように、測定時にはマイクを天井に向けます (90°)。この場合、90°のマイクキャリブレーションファイルが必要です。
- [アレンジメントの選択] ビューで指定された位置は、ガイドとして機能します。特定のエリアを強調するために、必要に応じてこれらから外れても構いません。
ソフトウェアの準備
ソフトウェアのインストール
Dirac Live® の最新版を https://www.dirac.com/live/downloads/ からダウンロードし、適切な場所に保存してください。
ダウンロードしたファイルを開き、インストーラーの手順に従ってください。
インストール後、デバイスがPCと同じローカルネットワークに接続されていることを確認してください。また、ライセンス認証のために、お使いのPCがインターネットに接続されている必要があります。
Dirac Live® を家庭用 AVR と一緒に使用する場合は§6.0 にスキップしてください。Dirac Live® を Dirac Processor Plugin または Dirac Processor スタンドアローンと共に使用する場合は以下の§5 をお読みください。
Dirac Processor Plugin のインストール
Dirac Processor Plugin を使用しない場合はこのセクションをスキップしてください。
インストール時に別の場所を指定しない限り Dirac Processor Plugins は以下のフォルダーに保存されます。
Windows
- Program Files\Common Files\VST2
- Program Files\Common Files\VST3
- Program Files\Common Files\Avid\Audio\Plug-Ins
MacOS
- /Library/Audio/Plug-Ins/Components
- /Library/Audio/Plug-Ins/VST
- /Library/Audio/Plug-Ins/VST3
- /Library/Application Support/Avid/Audio/Plug-Ins
Dirac Processor スタンドアローンのインストール
Dirac Processor スタンドアローンを使用しない場合はこのセクションをスキップしてください。
Dirac Live と Dirac Processor スタンドアローンのアプリケーションはこちらからダウンロードできます。ライセンス認証を行えるよう、PCがインターネットに接続されていることを確認してください。
ファイルを開いてインストール手順に従ってください。
続行する前にデバイスを再起動してください。
測定のための Dirac Processor Plugin の準備
Dirac Processor Plugin を使用しない場合はこのセクションをスキップしてください。
プラグインホストまたは DAW を起動し、プラグインメニューから DiracLiveProcessor を探します。ホストアプリケーションによっては「Dirac Research」という見出しの下にあることもあります。
プラグインホスト毎に設定が異なるため、DiracLiveProcessor を有効にするために追加の手順が必要な場合があります。この場合、選択したホストアプリケーションのドキュメントを参照して詳しい手順を確認してください。
ホストに DiracLiveProcessor を追加したら、それを開きます。
サインイン画面で Dirac アカウントにログインします。
以前に Dirac Live® でフィルターを作成したことがなければ、この段階では Dirac Processor Plugin 画面にフィルターは含まれていません。
DAW やプラグインホスト内で楽曲をループさせたり、または、30 分間の mp3 などの長いトラックを再生させたりして、ギャップレスオーディオストリームを開始します。DAW の [再生] ボタンを押し、Dirac Live® の測定が実行されている間、オーディオストリームがアクティブであることを確認します。キャリブレーションの全工程において、オーディオストリームがアクティブであることが非常に重要です。
測定のためのDirac Processor スタンドアローン (Windows 版) の準備
Dirac Processor スタンドアローンを使用しない場合は§6.0 にスキップしてください。
Windows の [コントロールパネル] を開いて、[サウンド] を選択します。Windows の [サウンド設定] が表示されます。
スタンドアローンは、後述するアプリケーション Dirac Processor スタンドアローンが起動するまで有効ではありません。
使用するサウンドデバイスを選択し、[設定] をクリックします。
使用する設定を選択します。
【注意】ASIO を使用する一部のサウンドカードでは、ここでマルチチャンネル設定を選択できないか、あるいは選択する必要がありません。WASAPI ドライバを使用する場合、適切な構成を選択する必要があります。
Dirac Processor スタンドアローンを起動します。
必要に応じて Dirac アカウントにログインします。
初めてProcessor 画面を開いたときは何も表示されていません。この画面にはDirac Live® でフィルターを作成した後でフィルターが登録されます。
Dirac Processor スタンドアローンを起動すると、新しいサウンドデバイスがアクティブになり、デフォルトのサウンドデバイスとして選択されます。
Dirac Processor スタンドアローンで、[オプション] > [オーディオ設定] を選択します。
お使いのシステムに適したチャンネル数を選択します。
Audio device typeを以下から選択します (Windows Audio モードは WASAPI モードです)。
Windows Audio は、共有モード で動作します。オーディオパイプラインがドライバを完全に制御するわけではありません。その代わり、システムのオーディオリソースを他のアプリケーションと共有します。
Windows Audio (排他モード) は、すべてのシステムオーディオリソースを Dirac Processor スタンドアローン専用にして Windows のオーディオパイプラインを引き継ぎます。
Windows Audio (低遅延モード) は、Windows Audio の代替設定です。低遅延モードは、最新の利用可能な Windows オーディオインターフェースを共有モードで使用しますが、低遅延をサポートしています。
ASIO (Audio Stream Input/Output) は、Steinberg 社が規定するサードパーティ製サウンドカードドライバのプロトコルで、Dirac Processor スタンドアローンとPCのサウンドカードとの間に低遅延でHiFiなインターフェースを提供します。ソース
[Windows Audio] 設定を使用する場合は、前述の Windows サウンド設定パネルを使用して、チャンネル構成やサンプルレートなどを変更します。
ASIO 設定を使用する場合は、Dirac Processor アプリケーションとASIO ドライバプログラムを使用して、チャンネル構成やサンプルレートなどを変更します。
出力として通常使用するサウンドデバイスを選択します。使用しているサウンドカードに ASIO ドライバがある場合は、[オーディオデバイスの種類] で [ASIO] を選択します。
[テスト] をクリックして、サウンド再生が機能することを確認します。問題がなければ [オーディオ設定] 画面を閉じてください。
メディアプレーヤーやWeb ブラウザからサウンドを再生し、レベルメーターが動いていることとサウンドが聞こえることを確認します。
サウンドが途切れる場合は、バッファサイズを変えて再度試してみてください。レイテンシーは 10.0msを推奨します。ただし、サンプルレートによっては使用できない場合があります。
JRiver Media Center のような一部のメディアプレーヤーでは、出力を手動で選択する必要があります。この場合、[Virtual Audio Device (Dirac)] が選択されていることを確認してください。
以上で、これから測定を行い、最初のフィルターを作成する準備が整いました。
Dirac Live® と Dirac Processor スタンドアローンのダウンロードとインストール
Dirac Live® と Dirac Processor スタンドアローンは、こちらからダウンロードできます。ライセンス認証を行えるよう、パソコンがインターネットに接続されていることを確認してください。
測定のための Dirac Processor スタンドアローン (macOS版) の準備
Dirac Processor スタンドアローン (macOS) を使用しない場合は§6.0 にスキップしてください。
アプリケーションから DiracLiveProcessor を起動する。
必要に応じて Dirac アカウントにログインします。
初めてProcessor 画面を開いたときは何も表示されていません。この画面には Dirac Live® でフィルターを作成した後でフィルターが登録されます。
Dirac Live Processor で、[オプション] → [オーディオ設定] へと進み、使用するオーディオインターフェースを選択します。
[Audio MIDI 設定] を開き、Dirac Virtual Audio Device がサウンドカードのリストにあることを確認します。
サウンドを再生し、サウンド信号が Dirac Live Processor を通過していることを確認します。
以上で、これから測定を行い、最初のフィルターを作成する準備が整いました。
Dirac Live® キャリブレーションガイド
Dirac Live® アカウント
事前にインストールした Dirac Live® デスクトップ アプリケーションを起動します。
アプリケーション起動後、最初に表示される画面でアカウント情報を入力します。メーカーによっては Dirac Live® 対応機器に機能ライセンスがデフォルトで含まれている場合とそうでない場合があります。弊社のWeb ストアで購入いただいた機能を利用するには、アプリケーションからお客様のアカウントにログインする必要があります。
アカウントをお持ちでない方は、ログイン画面の [アカウントの作成や管理] をクリックしてアカウントを作成することができます。
ライセンスを購入しておらず、ログインしたくない場合は、[ログインせずに進む] ボタンを押してください。
デバイスの選択
次に、Dirac Live® がネットワークをスキャンして、対応するすべてのデバイスを探します。そのためお使いのデバイスとPCが同じネットワークに接続されていて、ネットワークに完全にアクセスできる状態であることを確認してください。見つかったデバイスはすべてリストアップされます。デバイスが表示されていても、取り消し線がある場合は、そのデバイスを使用するための適切なライセンスがありません。Web ストアから適切なライセンスを購入し、再度お試しください。
デバイスの検出に問題がある場合は、トラブルシューティング:デバイスが見つかりません を参照してください。
また、アプリケーションの上部にある「IP」を押して、デバイスの IP アドレスを入力し、[IP 経由で接続] を試すこともできます。IP アドレスは通常、そのファームウェアまたは付属のドキュメントに記載されています。それでも表示されない場合は、デバイスと Dirac Live® 間の接続をブロックしているファイアウォールがないことを確認します。Windows のカスペルスキーは特に問題があります。修正方法は Windows:カスペルスキーに関する問題点を参照してください(英文)。
共通ユーザーインターフェース項目
デバイスを選択して録音デバイスの選択ページに入るとキャリブレーションの手順が開始されます。このセクションではキャリブレーションの全過程で利用できる共通のユーザーインターフェース項目の機能について説明します。
メニューボタン
左上隅の [メニューボタン] を押すとメニューが表示されます。メニューには、プロジェクトの保存と読み込み、アプリケーションのテーマ、言語など、標準的なユーザー機能が含まれています。
サポートされている言語は、英語、日本語、北京語、スウェーデン語です。
アクセシビリティの設定
アクセシビリティではさまざまな色覚異常に合わせてアプリケーションのデザインを調整できます。
自動保存
各測定後、プロジェクトは自動保存されます。
自動保存されたプロジェクトは以下の場所で確認できます。
Windows
%userprofile%\Dirac\projects\autosave
Mac
<User>/Dirac/projects/autosave
ヘルプテキスト
アプリケーション使用中に行き詰まり、何をしたらよいかわからなくなった場合は、いつでも[ヘルプ] ボタン「?」 を押してください。[ヘルプ] ボタンを押すと、キャリブレーションの進め方について必要な情報が表示されます。例えば、録音デバイスの選択ページのヘルプテキストは以下のとおりです。
通知
Dirac Live® は、変更やエラーについてユーザーに最新の情報を提供するために、いくつかの種類の通知を使用しています。黄色はエラーを示します。緑色は手順が成功したことを示します。黒と青は一般的な通知です。
サイドバー
サイドバーには、メーカー、ロゴ、モデル、システム名など、接続されているデバイスの一般的な情報が表示されます。デバイス、または Dirac Processor で利用できるフィルターは、 [フィルター] 下にリスト表示され,選択することによりデバイス本体、または Dirac Processor の有効フィルターを変更することができます。サイドバーと他のページの間にある青い線で示した部分(下図参照)を押すことでサイドバーを最小化できます。
【注意】お使いのデバイスによっては設定を変更すると、フィルターリストが削除されたり、設定固有のフィルターリストに切り替わったりする場合があります。室内音響最適化を実行中は、絶対にデバイスの設定を変更しないでください。
ナビゲーションバーとボタン
ページの下部にはアプリケーションの手順を前後に移動するための 2 つのボタンがあります。
ページの上部にあるナビゲーションバーはアプリケーションの現在の手順を示しています。また、黒い丸を押すと以前に実施したページに直接移動できます。
録音デバイスの選択
デバイスを選択したら、デバイスが再生するテスト信号を録音するためのマイクを選択する必要があります。PCとデバイスに接続されているすべてのマイクが [録音デバイスの選択] ページに表示されます。
- PCに接続されているすべてのマイクが [ローカルシステム] 上に表示されます。
- Dirac Live® 対応デバイスに接続されているマイクがデバイスのロゴの上に表示されます。
- 選択したマイクは細い枠で囲まれます。
測定に使用するマイク (通常はセットアップ時に接続したもの) を選択します。マイクのボックスの下部をクリックして、関連するキャリブレーションファイルを読み込みます。
コンテキストメニューをクリックした後、[キャリブレーションなし] を選択すると、生の入力信号に対する補正がされないため推奨できません。
マイクのキャリブレーションファイルが 90 度測定用のものであることを確認してください。【注意】マイクが天井に向けられている場合のみ。
キャリブレーション用のマイクを選択し、キャリブレーションファイルを読み込んだ後、右下のナビゲーションボタンを押して [ボリュームキャリブレーション] のページに進みます。
ボリュームキャリブレーション
フィルター設計のアルゴリズムでは、スピーカーを適度な音圧レベル(音量)で、また可能な限り低いノイズレベルで測定する必要があるため、測定前にシステムの音量レベルのキャリブレーションを行うことが非常に重要です。マイクは、まずリスニングエリアの中央に配置します。これが「スイートスポット」です。
- [マスター出力] のレベルは、耳やスピーカーにダメージを与えないよう、小さな音量に設定する必要があります。まだ小さな音量に設定されていない場合は、インジケーターをスライダーの下側にドラッグしてください。
- マイクゲインを赤い部分の一番下、すなわち、デジタルゲインが +0dB になるように設定します。
- 一番左にあるスピーカーの下に表示されている [再生] ボタン「▷」を押してください。スピーカーからピンクノイズ、またはサブウーファーの場合は短いサイン波のスイープ信号が再生されます。これらのテスト信号が聞こえない場合は、聞こえるようになるまで [マスター出力] レベルをゆっくり上げてください。
- この手順をすべてのスピーカーで繰り返します。1 つ、または複数のスピーカーからテスト信号が再生されない場合は、デバイスが正しいスピーカー構成に設定されているか、スピーカーがデバイスに接続されているかを確認します。また、デバイスのファームウェアも各スピーカーを正しく認識していることを確認します。
- マスター出力を通常、または通常より少し大きめのリスニングレベルに調整し、測定に進みます。
- 測定中にS/N比のエラーが発生した場合は、ボリュームキャリブレーションの段階で、マスター出力を上げるか、マイクゲインを下げる必要があります。
- 測定中にクリッピングエラーが発生した場合、ボリュームキャリブレーションの段階でマスター出力を下げる必要があります。
テスト信号の音量は絶対に耳を傷めることのないようご注意ください。安全のため、マスター出力スライダーにはロックがかかっています。しかし、レッドゾーンにまで音量を上げる必要があり、システムがそれに対応できることを確認している場合は、スライダーの上に表示される赤いロックを押してください。これで、スライダーを赤い部分までドラッグできるようになります。
アレンジメントの選択
[アレンジメント選択] 画面で、測定するアレンジメントに最も適したアレンジメントを選択します。用意されている種類は、マイクを配置する際のガイドとなるものです。アレンジメントの主な違いは、許容される測定ポイントの数です。
最初の測定は、スピーカー間のレベルと遅延の調整に使用されるため、必ずリスニングエリアの中央、希望するスイートスポットで行ってください。
アレンジメントメニューからアレンジメントを選択できます。アレンジメントメニューでは、ホーム セクションに 3 種類のアレンジメントが用意されています。タイトフォーカスイメージング、フォーカスイメージング、ワイドイメージングで、それぞれ 9、13、17 の測定ポイントがあります。
タイトフォーカスイメージング
この測定配置は、リスナーがほとんど移動することのない明確なリスニングエリアを表しています。
【注意】測定位置をタイトに配置すればするほど、極端な最適化になります。
フォーカスイメージング
この測定配置は、1つのリスニングポジションが明確に定義されたリスニングエリアで、ある程度の柔軟性があります。リスニングエリアが 2 人掛けや 3 人掛けのソファーの場合はこの配置を選択します。
ワイドイメージング
この測定配置は、複数のリスナーのためのより広いリスニングエリアを意味します。コーナーソファや、2 台以上のソファーに分散して配置されたリスニングエリアでも有効な設定です。
ヒント:測定ポイントは、リスニングエリア全体に均等に分散させることをお勧めします。ただし、[ワイド] と [フォーカス] のリスニングアレンジでは、特定の位置をより密に測定することで、より強く強調することができます。
測定手順
測定中は、マイクとスピーカーの間に障害物がないよう見通しを良くし、周囲の雑音 (テレビ、エアコン、工事など) がないことを確認し、スタンドなどを使ってマイクを完全に固定させるようにしてください。各スピーカーでテスト信号が再生され、最後に再び最初のスピーカーでテスト信号が再生されます。
- 最初の測定は、常にリスニングエリアの中央、最も使用頻度の高いリスニングポジション、すなわち「スイートスポット」で行ってください。この測定により、スピーカー間のレベルと遅延が調整されます。
- [測定] ボタンを押すと一連の測定値が収集されます。これにより各スピーカーでテスト信号が再生され、最後にもう一度最初のスピーカーでテスト信号が再生されます。
- タイマーを押して、測定開始までの遅延時間を 2 ~ 15 秒の間で選択します。これにより、リスニングエリアから離れる時間や、ノートパソコンのLCDが視界の妨げになる場合にはLCDパネルを閉じる時間を取ることができます。
- マイクを次の指示された位置に移動させて [測定] を押します。この手順を、すべての測定ポイントについて、すなわちリスニングエリア全体に行き渡るまで繰り返します。
ヒント:測定ポイントにカーソルを合わせると、ポイントの位置に関するヘルプテキストが表示されます。 - すべての推奨位置で測定した後、フィルター設計のページに進んでください。
- これで、プロジェクトが自動保存されます。
測定時に起こりうる問題と回避策については以下のとおりです。
- クリッピング:測定中に出力レベルが高すぎると、信号がクリップして測定が終了します。ボリュームキャリブレーションに戻り、対応するスピーカーのゲインを下げるか、システムのマスターボリュームを下げます。
- 低 S/N比 (信号対雑音比):測定時にレベルが低すぎると、アプリケーションで信号と背景ノイズを識別することが難しくなります。ボリュームキャリブレーションに戻り、対応するスピーカーのゲインを上げるか、またはシステムのマスターボリュームを上げます。詳細についてはこちらをご覧ください。トラブルシューティング:低S/N比 (SNR)
フィルター設計
Bass Control フィルター設計に関するガイダンスについては、§6.9 を参照してください。
測定の完了により、システムの歪みを最適化するための情報がすべてそろいました。フィルター設計のページでは、Dirac Live® を適用する前と後の各スピーカーの平均的な周波数特性が表示されます。周波数特性そのものは、ある周波数に対してスピーカーがどれだけのエネルギーを生み出せるかを示しています。例えば下図では、部屋の共振によって 60 Hz で 10 dB のエネルギーブースト、100Hz 以上で 5 ~ 10 dB の減衰が発生しています。このように 60Hz に鋭いピークがあると、一部の低音が他の低音よりも増幅されてしまい、システムの低音再生に不均一が生じます。また 100 Hz 以上に谷があると、システムの暖かみのある感じが損なわれます。これらの歪みは、Dirac Live® が最適化します。
ヒント:マウスのホイールを使って、ズームイン、およびズームアウトができます。
スピーカーグループ
物理的属性が似ているスピーカーは自動的にグループ化されます。グループ内のスピーカーは同じターゲットカーブを持ち、周波数特性も似たものになります。グループ内のスピーカーに個別のターゲットカーブを設定したい場合は、グループ内のスピーカーを(下図のように)空き領域にドラッグするとスピーカーを分離できます。
オートターゲットカーブ(※Dirac Live® 3.3 以降)
ターゲットカーブは、スピーカーやスピーカーのグループの周波数特性を編集するためのツールです。Dirac Live® は、システムの周波数特性がターゲットカーブを反映するような混相位相フィルターを構築します。Dirac Live® は、スピーカーのパフォーマンスに基づいて、推奨されるターゲットカーブを自動的に生成し、そのカーブに合うように周波数特性を調整します。これらのカーブは好みに合わせて調整することができます。
Dirac Live® 3.3で導入されたオートターゲットカーブは、スピーカーのキャラクターを保持しながら,過剰な音の反射や歪みなどの悪影響を排除します。
フィルターデザインウィンドウの左側と右側にあるハンドル(上図,水色の横線)で、それぞれ低音と高音の特性を調整することができます。ハンドルを上下にドラッグすることで好みのカーブにすることができます。
従来(Dirac Live® 3.3以前)のコントロールポイントでターゲットカーブを管理する機能は、スピーカーグループパネルのコントロールポイントボタン(下図)をクリックすることで利用できます。
ターゲットカーブ(コントロールポイント型;前節参照)
コントロールポイントをドラッグすることで、ターゲットカーブを変更 (特定の周波数を強調したり弱めたり) することができます。
コントロールポイントを追加するには、対象となるカーブ上で右クリックし、[制御点の追加] を選択します。また、コントロールポイントを右クリックして [コントロールポイントの削除] を押すと、削除できます。
左上のメニューから、デフォルト、またはカスタムのターゲットカーブをいつでもロードできます。ターゲットカーブのロードは特定のグループにするか、すべてのグループにするかを選択します。
ヒント:ターゲットカーブのわずかな変化(1 [dB])が、知覚される音質を大きく変化させることがあります。そのため、ターゲットカーブの編集には細心の注意を払うことをお勧めします。
さまざまなフィルターをデバイスにエクスポートして好みのものを見つけることで、様々なターゲットカーブを試すことができます。プロジェクトを頻繁に保存することで、思うように調整が上手くいかない場合でも余裕を持って対処することができるでしょう。
エクスポートしたフィルターで位相の問題が発生した場合、測定ポイントが少なすぎたか、測定範囲が狭すぎた可能性があります。測定ページに戻ってポイントを再測定したり、さらに多くのポイントで測定したりすることはいつでも可能です。
デフォルトのターゲットカーブは、しばしば室内の低音域のレスポンスを減衰させます。多くのユーザーは、室内の自然なレスポンスを反映させるために低音域を増強させることを好みます。これは下図のように 100 Hz 以下に 6 dB のバンプを追加することで実現できます。
カーテン
カーテンを使って最適化する範囲を制限することができます。カーテンの右側の明るいグレーの部分が最適化されるのに対して、カーテンの左側の暗いグレーの部分は最適化されません。カーテンの上にカーソルを置くと、水色でハイライト表示されます。カーテンの上でマウスの左ボタンを押すと、カーテンをドラッグできます。破線は、検出されたスピーカーの下限カットオフ周波数です。スピーカーはこのような低い周波でエネルギーを生成するように設計されていないため、このポイントより下にカーテンをドラッグすることは推奨されません。
表示オプション
Dirac Live® にはいくつかの表示オプションがあり、システムの特性をより簡単に調べることができます。左は Dirac Live® を適用していない状態、右は Dirac Live® を適用して最適化した状態のシステム測定値です。
周波数特性(スペクトラム)
このボックスにチェックを入れると、スピーカーのすべての測定値を平均した周波数特性を見ることができます。
スプレッド
スピーカーの周波数特性の広がりを表示します。特定の周波数に対して、測定されたエネルギーの最大値と最小値が表示されます。
スナップショット
スナップショット機能は、現在の状態のスナップショットを作成します。ターゲットカーブに変更があった場合、プロジェクトを保存/読み込みをせずにスナップショットの切り替えが可能です。
インパルス応答表示
インパルス応答は、Dirac Live® による最適化前と後のサウンドの正確さと明瞭さを示しています。各スピーカーのインパルス応答は、左上の [インパルス応答] タブを押すと表示できます。
インパルス応答の表示オプションで [カーブの分離] を押すと、インパルスの表示が水平に分割されます。そして、最適化されたインパルス応答が下部に、測定されたインパルス応答が上部に表示されます。測定されたインパルス応答の検出されたピークは 0 ミリ秒 に位置し、最適化されたインパルス応答のピークは数ミリ秒後 (通常は約 7 ミリ秒後) に位置します。これはシステムに導入されるフィルターの実際の遅延であり、あらゆるスピーカーの混合位相の動作を最適化するために必要です。
下の図では、スピーカーの各スピーカーユニット間のズレを調べることができ、エネルギーが時間的に分散していることがわかります。Dirac Live® による最適化後は、インパルス応答のエネルギーは小さな周期でしっかりと定義され、サウンドはよりシャープで、より精細になります。
Bass Control フィルター設計
Bass Control を購入すると、タイミング、レスポンス、ロールオフを根本的に改善し、システムのローエンドを最大限に引き出すための新機能と最適化が利用できます。
Bass Control オプション
互換性のあるプロジェクト内の Bass Control には、3 つのオプションがあり、それぞれ「オフ」、「アップミックス」および「フルベースオプティマイゼーション」です。
- オフ(Off):フィルター設計のページには Bass Control 機能は表示されず、フィルターはベースマネージメントを行わず計算されます。
- アップミックス(Upmix Only)【ベースマネージメント】:Dirac Live® フィルターは、配置された各サブウーファーが設計されたターゲットカーブに等しく寄与するよう生成されます。1 つのサブウーファーを持つシステムではカーブに一致するようにそのサブウーファーを調整し、2 つ以上のサブウーファーを備えたシステムでは各サブウーファーのボリューム (またはゲイン) を調整して、それらが総合的に設計されたレスポンスを提供するようにします。ただし、スピーカー間の破壊的な干渉は考慮されません。
- フルベースオプティマイゼーション(Full Bass Optimization)【Dirac Live Bass Control】:Dirac Live® フィルターはカスタマイズされた位相フィルター、遅延フィルター、ゲインを使用して、サブウーファーとそれ以外のスピーカーを低周波数領域で調和させます。
「Full Bass Optimization」または「Upmix Only」を選択すると、複数の周波数特性が表示されます。これらのプロットは、選択したスピーカー (右パネルでハイライト表示されている) とすべてのサブウーファーの平均周波数特性を示しています。Dirac Live® ソフトウェアの計算によって生成されたこれらのプロットは、システムに最適なクロスオーバー周波数を選択するのに役立ちます。
クロスオーバー設計
以下の洞察に基づき、選択したスピーカーとサブウーファーの両方がエネルギーを持つクロスオーバー周波数を選択します。クロスオーバーバーをドラッグすることでクロスオーバー周波数を調整できます。
- クロスオーバーバーの上にカーソルを置くとクロスオーバーフィルターがハイライト表示されます。上図ではクロスオーバーフィルターの低域部(上図 A)にサブウーファーに対してクロスする周波数を示しています。中域部(B)にはサブウーファーと高域用スピーカーの両方に対してクロスする周波数が、高域部(C)には高域用スピーカーに対してクロスする周波数が記述されています。
- なお、各スピーカーグループにはそれぞれクロスオーバー周波数が設定されています。
Bass Control のターゲットカーブ
- Dirac Live® ではシステムの周波数特性はターゲットカーブで調整されます。Bass Control を併用すると低い周波数がスピーカー間でより高い相関性を持ちます。そのためターゲットカーブはシステム全体で共通した低音部と各スピーカーグループに固有の高音部に分離されます。このセグメント化されたターゲットカーブについての説明は以下のとおりです。
- 選択されたスピーカーグループに対してターゲットカーブはすべてのチャンネルグループに共通する制御された低音部範囲とそのグループに固有の高音部範囲で構成されます。各グループでクロスオーバー周波数を指定します。
- ターゲットカーブのデフォルトはフラットな最適化で色付け(カラーレーション)のない透明感のあるサウンドを表現しています。最適化の特徴を変更したい場合はターゲット上のポイントをドラッグしてください。対象となるカーブ上で右クリックし [制御ポイントの追加先] を選択するとさらにポイントを追加できます。
- カーブを横軸の 0 dB レベルより上にドラッグすると、調整した周波数がブーストされます。0 dB レベルより下にドラッグすると減衰されます。
- サブウーファーの音量を上げるには下図のようにターゲットカーブの 100 Hz 以下の任意のポイントを数 dB 上げることで実現できます。このようなブーストは低音の効果を利用した映画鑑賞に好まれます。
Bass Control の適用
理想的なクロスオーバー周波数と各グループのターゲットカーブを設計したら、右下の [計算] を押してください。これでBass Control フィルターが計算されます。
Bass Control の計算が完了したら、プロットオプションの [最適化後] チェックボックスを選択し、選択したチャンネルの入力周波数特性の結果を表示します。最適化後のカーブは、下図のようにターゲットカーブと一致する必要があります。
[フィルターエクスポートに進む] をクリックします。
フィルターエクスポート
最後に、Dirac Live® で生成したフィルターをエクスポートして、実際に試聴を行います。スロットを選択し、任意の名前をつけて保存します(自動生成された名前がある場合がありますが、これは置き換えが可能です)。エクスポートが完了すると、アプリケーションはフィルター設計ビューに戻ります。アプリケーションを終了する前に、忘れずにプロジェクトを保存してください。
終わりに
このたびは、本マニュアルをお読みいただきありがとうございました。Dirac Live® でキャリブレーションされたシステムを動作させるために必要な情報をすべてご提供できていることを願っています。しかし、本ガイドに記載されていない問題が発生した場合は、以下の弊社サポートチームまでお気軽にお問い合わせください(※日本語対応可)。
https://jira.dirac.services/servicedesk/customer/portal/3
Dirac Live® User Manual - www.dirac.com